ペガサス/飛馳人生 (2019):映画短評
ペガサス/飛馳人生 (2019)ライター2人の平均評価: 3
再起を賭けて不可能に挑戦する落伍者の心意気
違法行為で地位も財産も失った中国の元トップレーサーが、再起を賭けてカーラリーに挑もうとするものの、次から次へと障害に見舞われていく。ライバルは才能にも財力にも恵まれた若き天才チャンピオン。対する主人公チャンは、スポンサーからも見放された無一文の落伍者だ。それでもなお、金のためでも名誉のためでもなく、ただ飛ぶように走りたいという一心で不可能に挑戦しようとする彼の情熱が、ドラマをグイグイと引っ張る。おバカだけど憎めないチャンを演じる、ムロツヨシ似の俳優シェン・トンも好演。チャウ・シンチーばりのギャグも楽しいのだが、しかし肝心のレースシーンがラスト20分程度なのは少々物足りない。
チャウ・シンチーの影響をモロに受けた“笑い”全開!
切ないロードムービーだったデビュー作『いつか、また』とも、ハートウォーミングな2作目『乗風破浪』とも違い、チャウ・シンチーの影響をモロに受けた“笑い”で攻めてくる人気作家・タン・ハン監督作。“コメディ版『OVER DRIVE』<<<『過ぎゆく時の中で』”といったノリだが、監督自身がレーサーだけに、肝心のレースシーンはかなりの迫力。また、観客を飽きさせないことに焦点を絞った監督の編集・音楽センスはさすがであり、とにかく突っ走るのみ。そのグルーヴ感もあって、あまりのキャラの濃さゆえ、最初は馴染めない主人公(やや小手伸也似)やロン毛の相棒が、次第に愛らしく思えてくるから不思議だ。