命みじかし、恋せよ乙女 (2019):映画短評
命みじかし、恋せよ乙女 (2019)ヨーロッパの風味が加わった怪談噺
樹木希林の遺作であり初の海外作品となった本作はいわば“”怪談噺”です。怪談というと=ホラー映画というようなイメージが付きまといますが、本来はもっと広義な怪奇譚のようなものを指していました。本作はまさにそれで様々な形の”境界線”が揺らぎ古典の『牡丹灯籠』などを思い起こさせます。
物語の後半にこの世の不思議の語り部として、登場するのが樹木希林。舞台となった茅ケ崎旅館は小津安二郎から是枝裕和まで多くの名監督が定宿とする老舗旅館。小津の遺作『秋刀魚の味』の舞台になり、樹木は昭和の大女優・杉村春子の付き人として訪れたことがあるとか…。日本映画の歴史も垣間見えます。
この短評にはネタバレを含んでいます