シライサン (2019):映画短評
シライサン (2019)「私はあなたを見ています」の……の戦慄
“貞子”や“呪怨”などで語られ尽くした感もある和製オカルト映画だが、まだまだ開拓の余地はある。そう思わせるだけの熱量が、ここには宿っている。
眼球破裂の冒頭からして怖がらせる気満々だが、そこからジワジワと悪霊=シライサンを見せていくニクいつくり。ビジュアル的なインパクトはもちろん、民間伝承や土俗文化の要素も色濃く、このクリーチャーの和的な怖さが存分に伝わる。
ホラーとしてのみならず、SNS世代の話に仕上げた点が面白い。“イイね!”が“私はあなたを見ています”を意味することもある昨今、承認欲求の塊というべきシライサンを通し、恐怖に現代性をクロスオーバーさせた乙一のセンスが光る。
この短評にはネタバレを含んでいます