シークレット・スーパースター (2017):映画短評
シークレット・スーパースター (2017)ライター2人の平均評価: 5
虐げられる女性と子供に勇気を与える痛快作!
インドが抱える様々な社会問題を改善しようと活動する人気俳優アーミル・カーン。彼が製作を務めただけあって、青春映画でありながら女性のエンパワーメントに重きを置いた痛快作だ。ヒロインはシンガーを夢見る14歳のムスリム少女インシン。彼女が強権的な父親という障害をどう乗り越えるのか?という物語で、ムスリム女性が置かれた境遇や男尊女卑の悪習を明らかにする。夢を追う強い気持ちと才能が周囲を動かし、そんなインシンに母親がインスパイアされる展開は、「こうありたい」というインド女性はもちろん、世界中の虐げられた女性と子供に勇気を与えるはず。カーンも崖っぷちの元人気歌手役で脇を支えるグッド・ジョブ。
世界中の虐げられた少女たちに勇気を与える感動作
映画大国インドで歴代3位の興収を記録した大ヒット作である。女性の社会的地位がいまだに低いインド社会。近代化された大都会ならいざ知らず、ヒロインの少女インシアが暮らす田舎では、家庭において父親が絶対的な権力者であり、母親や娘は服従を強いられている。しかも、ブラックな職場で働きずくめの父親は、妻への暴力で憂さ晴らしするような暴君だ。そんな過酷な現実を踏まえつつ、歌手を目指すインシアがYouTubeを通じて才能を開花し、逆境をはねのけながら夢を掴もうとする。誰よりも娘の幸せを願いつつ、それゆえインシアに夢を諦めさせようとする母親に、常態化した女性差別の罪深さが感じられて切ない。ラストは大号泣です。