Tribe Called Discord: Documentary of GEZAN (2019):映画短評
Tribe Called Discord: Documentary of GEZAN (2019)レイヤーの最深部を旅するイニシエーションとしての米国見聞録
バンドドキュメンタリーの域を完全に超えた内容に驚かされた。極東の島国から米国ツアーにやってきた青年たち(GEZAN+監督)がパンクロックという回路を通すことで各地のハードコアなコミュニティを渡り歩いていく。サンタクルーズではLGBT、アリゾナではネイティヴアメリカン……。一口にアメリカと言っても無数の分断と小さな団結が存在する事を生身で発見していく。
その旅に立ち会っている感覚が我々もリアルに味わえる傑出したロードムーヴィーだ。世界の広さと深さと複雑さを知る通過儀礼といった趣もあるが、例えば約50年前、ダモ鈴木がCANに加入するまでの過程ではどんな風景を見ていたのだろうと想像してしまった。
この短評にはネタバレを含んでいます