映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者 (2020):映画短評
映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者 (2020)ライター2人の平均評価: 4
今年は、ぶりぶりざえもん復活祭!
25年ぶりに原作コミックを基にした「劇場版」だが、空に浮かぶ王国「ラクガキングダム」の存在など、『そこのみにて光輝く』『オーバー・フェンス』の高田亮が脚本を担当しているのが、本作の肝。囚われの身となり、延々落書きすることを強いられたコドモ、極限状況に追い込まれたオトナの心理描写など、おなじみのホラー展開を交えながら、スケール感溢れるドラマティックな展開を用意する。それを担うのが原作同様、哀しみのヒロイン「ニセななこ」や塩沢兼人から継承した神谷浩史のぶりぶりざえもん。そのため、野原一家やかすかべ防衛隊の出番はわずかだが、それでも十分面白い。よって、今年も「クレしん」当たり年!
新機軸もうかがえるラクガキズム
力作の第28弾。本シリーズの劇場版では初監督となる京極尚彦に、脚本は驚きの高田亮。今回の「ラクガキ」は子供の自由な精神の象徴で、いまの日本社会からそれが失われている。そこで子供たちにラクガキを無理矢理描かせるという本末転倒。「子供の自由な精神」を奪っているのもオトナだし、強要しているのもオトナ。
『映画クレしん』の卓越の生命線は「風刺劇」の精神だ。原作にもあったそれを原恵一監督が『オトナ帝国の逆襲』や『戦国大合戦』でブーストさせたもので、シリーズの大切な要素としてしっかり継承し続けている。実際に春日部の子供たちが描いた「絵」を作画に導入しているのも素晴らしく、久々のぶりぶりざえもんも嬉しい!