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ミッドナイトスワン (2020):映画短評

ミッドナイトスワン (2020)

2020年9月25日公開 124分

ミッドナイトスワン
(C) 2020 Midnight Swan Film Partners

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

なかざわひでゆき

多様な生き方を許さぬ日本社会の不寛容を炙り出す

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 故郷を捨てて都会の片隅に生きるトランス女性と、シングルマザーに育児放棄された少女の心の触れ合いを通して、現代日本に蔓延する不寛容を抉り出していく。オネエ系と呼ばれるタレントがメディアで持てはやされる昨今、綺麗でもなければ面白くもない“平凡”なトランス女性の凪沙に社会の居場所はなく、場末のショーパブで働くしか生きる道はない。それは貧困と過労に苦しむシングルマザーの早織や、その幼い娘・一果も同様。社会の規範から外れてしまった彼女たちに、世間はどこまでも無自覚で残酷だ。これまでも日本社会の裏側や底辺に生きる人々へ目を向けてきた内田栄治監督だが、本作はその集大成とも呼ぶべき重みがある。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

トランスジェンダーを描くこと/演じることの渾身は伝わる

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ドラマで志尊淳や瀬戸康史、映画で生田斗真など、俳優にとって日常化しつつあるトランスジェンダー役だが、ここまで切実で壮絶な運命が描かれるとは……正直びっくり。ショーパブでの仕事や過酷な治療、母性のめざめなど、ある程度、物語の流れは想定内だが、ポイントの描き方がかなり強烈だったりする。ドラマチックを狙って、やり過ぎ感も少々!? 草なぎ剛も全体的には感情を抑えつつ、重要シーンでは目を疑うほどの迫真の「表現」に挑んだ。
もうひとつの世界であるバレエの部分をきっちり描いた点が好印象。バレエの実力で選ばれた服部樹咲の、まっすぐでピュアな演技は、激烈な運命の中でオアシスのような安らぎ。まさに原石の輝き!

この短評にはネタバレを含んでいます
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