ムーラン (2020):映画短評
ムーラン (2020)ライター2人の平均評価: 3.5
いろいろと、歯がゆさが残る
「アニメ版」の持ち味だったミュージカル要素をカットしたうえ、コミカル要素も薄くしたことで、テーマ的には強まったかもしれないが、討伐隊員などのサブキャラが恐ろしいまでに薄味に。ドニー・イェンのシャン隊長代わりの司令官も、ジェット・リーの皇帝もムダ遣いと言わないまでも、「それ目的」で観ればガッカリ。シャン・ユー代わりのヴィラン役のジェイソン・スコット・リー繋がりでいえば、『ソード・オブ・デスティニー』ばりに、歯がゆさが残る。ちゃんと動けるリウ・イーフェイの起用が間違いでなかったことや、懸念していたオリジナルのコン・リー演じる魔女が、意外とストーリーに馴染んでいたことが救い。
「女性であること」「男性であること」を観ているうちに忘れる
映画での異性装は、見た目の違和感がどうしても気になるが、このムーランのリウ・イーフェイは、かなりの高レベルでは? まっすぐな瞳は少年のそれであり、周囲の男性兵士と同じく、われわれ観客も軽やかに騙してしまう。アニメと違って生身の人間としての達成感! 女性が男性兵士に追いつき、抜かすというより、「柔よく剛を制す」というアクションが、ムーランの優秀な能力を納得させる。湖での水浴などロマンチック展開になりそうでならないのも、性を超えたヒーローという作品のテーマに沿うもの。あるシーンでのムーランの潔さは性別を超えたカッコ良さを放つ。ジェット・リーが良くも悪くも本人だとわかりづらい。何かの狙いか!?