耳をすませば (2022):映画短評
耳をすませば (2022)10年経っても、むずがゆい恋
原作では画家を、ジブリ版ではバイオリン職人を目指していた聖司が、チェリストを目指してイタリアに渡っている設定からも、いろいろと不安がよぎる今回の実写化。そんな10年後のオリジナルストーリーも、回想として登場する中学時代を踏襲した、むずがゆい展開であり、疑問視されていた「翼をください」も意外と巧く物語に溶け込んでいる。25歳になった雫の空回りキャラは、芸達者な清野菜名だからこそ許されるのだが、悩める彼女を支える夕子と杉村を演じる内田理央と山田裕貴が好演。ジブリ版よりも原作に寄せている点や、誰もが感じる「なぜ、今?」感なども含め、実写版『魔女の宅急便』を観たときの感覚に近い。
この短評にはネタバレを含んでいます