水曜日が消えた (2020):映画短評
水曜日が消えた (2020)ライター2人の平均評価: 3.5
その優しさに、いい意味で裏切られる。
多重人格者が巻き込まれるサスペンスというよりは、自分探しや他者との繋がりが丁寧に描かれたヒューマンドラマといえるだろう。長編デビュー作にして、なかなかの映像センスを発揮する吉野耕平監督だが、『君の名は。』において回想パートCGを担当していたクリエイターだけに、いろいろと腑に落ちる部分もある。つまり、一部で話題になっていた“月曜日が消えた”こと『セブン・シスターズ』とは、完全に別モノ。どこか切なくて、ハートウォーミングな感触としては、窪塚洋介の『Laundry』に近いものもあり、いい意味で裏切られること間違いなし。ただ、冒頭あたりで、ガッツリと中村倫也七変化を堪能したかった感はアリ。
幸せの形
まずは中村倫也を捕まえてこれたことが大きいです。
製作側が現実から半歩だけ浮いた世界観の持ち主を探し求めた結果、本当にいいタイミングで巡り合えたと言えるでしょう。
中村倫也と言う独特の非現実感を纏った俳優は今後も巧く活かされて行って欲しいですね。
Wヒロインの石橋菜津美と深川麻衣も自然体の演技を見せてくれて、このスコシ不思議なSF的世界観と現実との接地役を担っています。
吉野耕平監督は技術畑出身ですが、アイデアや見せ方一本ではなく、ストーリーと人物を大切にしている感じが伝わり、次回作が見たくなる監督です。