名も無き世界のエンドロール (2021):映画短評
名も無き世界のエンドロール (2021)ライター2人の平均評価: 3
雨の横断歩道、ビニール傘の水滴----情景が美しい
雨が降る午後、灰色だが明るい空、誰もいない交差点、そこに通りがかった2人の透明ビニールの傘、傘の表面を伝う水滴が反射する光ーーーこの光景の美しさに息を飲む。撮影は「武曲 MUKOKU」のほとんど無彩色の雨も印象的だった、「万引き家族」の近藤龍人。そして、この交差点が何度も登場し、そのたびに別の風景となって現れるというドラマの組み立て方が、映像で物語を語るということはどういうことかを見せてくれる。
ストーリー展開に仕掛けがあり、人気俳優の共演ぶりも魅力的な映画の中で、この情景が物語に大きく貢献するだけではなく、ストレートに視覚を刺激して美しく、映画を見終わった後も強く印象に残る。
うねる物語
『危険なビーナス』の佐藤祐市監督が仕掛ける大仕掛け。衝撃のエンディングやラスト○○分の衝撃と言った宣伝も国は流石に食傷気味ではあるものの、原作をさらに削って鋭利にした感のあるエンディングのうねりは見応えたっぷり。
岩田剛典と新田真剣佑のコンビはいあ賞の良さを感じさせます。
カギを握るWヒロインの山田杏奈と中村アンの好演も印象に残ります。
時系列の入れ替え、回想シーンの唐突な差し込み、意味深なアイテムの登場などなど絶妙に配された布石が後からどんどん効いてきます