劇場版 BEM ~BECOME HUMAN~ (2020):映画短評
劇場版 BEM ~BECOME HUMAN~ (2020)ライター2人の平均評価: 3
人間の定義とはなんぞや?を問うリブート続編
昨年テレビ放送された『妖怪人間ベム』リブートの劇場版続編。スタッフの大部分を刷新しているため、作画デザインなど微妙に変わっているが、設定やキャラは前作の延長線上にある。一応、テレビ版は見ておいた方がすんなり入ってくるだろう。前作から2年後、妖怪人間たちの行方を捜す刑事ソニアが見つけたのは、記憶を失い別人となって妻子と暮らすベムだった…ということで、ああ、なるほど基本は『トータル・リコール』ですか…とすぐにピンとくる。なので、大体の筋書きは読めるものの、そこから導き出される妖怪人間たちのルーツを通して「人間の定義とは?」と問いかけるストーリーは面白く、劇場版ならではのスケール感も楽しめる。
変形していくときの歓びが画面に漲る
画面に"変形することの歓び"が溢れる。人間ではないものたちが、人間社会で暮らすための姿に擬態することを止め、本来持っている力の発露を制御することを止め、内在する力のすべてを解き放つとき、その力が出現しようとするのに伴って、身体が変形していく。力は全身に漲っていきながら身体の形を変形させ、その変形により力がさらに強大になっていく。そのとき、湧き上がってくる原初的な歓びが全身を駆け巡る。それが画面から伝わってくる。そのための大画面であり、そのための劇場版なのかと合点がいく。ストーリーにはSF要素もあり、マッド・サイエンティストのキャラも楽しいが、この"変形の歓び"の映像が大画面に相応しい。