パリの調香師 しあわせの香りを探して (2019):映画短評
パリの調香師 しあわせの香りを探して (2019)ライター2人の平均評価: 4
安易に恋に落ちたりなどしない男女の温かな友情に説得力あり
天性の嗅覚を失いかけた人間嫌いでわがままな超一流の調香師と、娘の親権も仕事も失いかけたお人好しで不器用なダメ人間の運転手がひょんなことから知り合い、なにかにつけて衝突しつつも相手への理解を深め、やがて共に力を合わせて人生の再起へ挑んでいく。住む世界も違えば性格も正反対な男女が、お互いの欠点を補いながら成長していくというプロットは古典的なロマンティック・コメディの定番だが、しかし本作の場合は主人公たちが安易に恋に落ちたりなどせず、性別や立場の違いを超えた温かな友情で結ばれていくところに現代的な説得力がある。ベタだけれどほのぼのとするユーモアを含め、とても後味の良い素敵な映画だ。
オドラマ・システムでの上映で見たかった
嗅覚を失くすことを恐れる調香師が親権と仕事を失いかけている運転手との出会いで、人生を変えようと決意するまでをテンポよくまとめている。それぞれが抱える問題点をつまびらかにする展開も自然だし、二人が足りない部分を補いつつ前進する流れも説得力アリ。演技派E・ドゥヴォスが傲慢に見えて実はもろいヒロインを愛らしく演じ、運転手役G・モンテルはユーモアを吹き込む。この二人のバディ感の築き方も好感度高し! 調香師なので香りを分析するのが習慣で、
香りを体感できるオドラマ・システム上映で見ればさらに臨場感が増したはず。エルメスの調香師が協力した作品でもあり、『ポリエステル』とは異なる華やかな香りに包まれたはず。