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ボクたちはみんな大人になれなかった (2021):映画短評

ボクたちはみんな大人になれなかった (2021)

2021年11月5日公開 124分

ボクたちはみんな大人になれなかった
(C) 2021 C&I entertainment

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

斉藤 博昭

森山未來がオザケンに見えた瞬間も。25年を演じきる俳優の力量

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

「現在」を軸に各時代へ自在にシフトする原作と違い、2020年から1995年へ遡る映画のスタイルは、逆流感で物語がわかりやすく、原点の「あの頃」に返っていく感覚が、こちらの胸も切なく締めつけてくる。
25年にもわたる主人公の変化を表現する森山未來。その違和感のなさは奇跡的。95年の彼の「たたずまい」が、役の原点のひとつである小沢健二に一致していて驚いた。
原作で「どんな人が演じるのか」気になった恋の相手も、伊藤沙莉という最適者を得て、名言の数々が記憶に刻まれる。
夜のシーンが多いうえ、会社や自宅など、明るいはずの場所も意図的に暗く演出され、ムードはいいのだが、表情が見えづらく、もどかしさが募る。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

“あの時代”を生きた人間に刺さりまくる124分

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『モテキ』から10年を経て、あの森山未來が帰ってきた!と断言できる一作であると同時に、今年の上半期を代表するラブストーリー『花束みたいな恋をした』と対になる下半期の代表作。とにかく、あの時代を生きてきた人間にとっては刺さりまくる124分だが、伊藤沙莉が本格的に登場する後半パートは鳥肌の連続。これまで映画ではクセが強いキャラを演じてきた彼女にとって、大きなチャレンジだったのがよく分かる。原作をリスペクトしながら、あえて余白部分を残す高田亮による脚色もスゴいが、四半世紀に及ぶサブカルの終焉を追いかけつつ、文通から始まるコミュニケーション・ツール史として観ると、とにかく切ない。

この短評にはネタバレを含んでいます
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