コントラ (2019):映画短評
コントラ (2019)ライター2人の平均評価: 4
本気を感じさせる監督と、タダ者ではない女優
前作『東京不穏詩』に続き、またも簡単にジャンル分けできないアンシュル・チョウハン監督作。今度はモノクロで捉えた田園風景が、一見奇妙なSFファンタジーに見えるストーリーに色を添え、徐々に感情を揺さぶっていく。戦争や歴史に関する徹底したリサーチなど、随所に監督の本気が感じられ、143分という長尺でありながら、時間の流れ方も心地良い。そして、何よりヒロイン・ソラを演じる円井わんの存在感だろう。『タイトル、拒絶』では強烈すぎる共演者に埋もれてしまった感もあったが、本作では全編に渡って“タダ者ではない感”が炸裂。彼女のカッコ良さに痺れるエンドクレジットは、とにかくスゲエの一言!
インド出身の監督が日本映画を撮って、摩訶不思議な空気へ誘う
2時間20分のわりに物語はシンプルだが、いい意味でダラダラと観続けてしまう。その理由は……モノクロで幻想的にとらた日本の原風景、演技初挑戦とは思えない高校生役の円井わんのナチュラルすぎる苛立ちの表情と言葉づかい、狂言回し的な“後ろ歩き”男の不気味さ、刺激的で怪しい音楽……と、いくつもあるが、それら重要ポイントが過剰にならず、適度なバランス感で「映画らしい空気」を醸し出す。インド生まれのチョウハン監督のこのセンス、すでに巨匠の域では!?間延びしそうになると、ドッキリ場面やユーモアをぶっこんでくる感覚も含め、基本的に奇妙なリズムだけど、反戦テーマの扱い方など、チャレンジグな作りは評価したい。