決戦は日曜日 (2022):映画短評
決戦は日曜日 (2022)ライター2人の平均評価: 5
コネと馴れ合いと茶番に溢れた政界の裏側を斬りまくる!
父親の地盤を引き継いで衆院選に出馬する与党の二世候補・宮沢りえと、世間知らずで甘やかされた彼女に振り回される議員秘書・窪田正孝のドタバタを描く。ああ、またユルくて斬り込みの浅い日本のポリティカル・コメディか…と思いきや、これが実に大胆かつ舌鋒鋭い風刺映画に仕上がっていてビックリ!なぜ日本の政治がこんなにグダグダなのか、なぜ政治家の質がこれほど落ちてしまったのか。コネと馴れ合いと茶番に溢れた政界の裏側を、歯に衣着せぬブラックユーモアで容赦なく斬りまくっていく。もちろん、流されやすい有権者の政治意識にもチクリ。既存のシステムを打ち破る政治家の誕生を願うラストがまたグッとくる。
新年に戦慄の初笑いを。想定を大きく超える面白さ!
凄い。空疎さに満ちた日本の政治状況を鮮やかに戯画化した傑作だ。監督の坂下雄一郎(86年生)は『神奈川芸術大学映像学科研究室』など「業界もの」に独自の才を見せてきた俊英。ひとつの世界の裏舞台を風刺的な目線で描く喜劇。その延長に今回の地方政界があるが、質は跳ね上がっている!
保守政党の選挙事務所を拠点に、二世議員候補のお嬢様(宮沢りえ)と、澱んだシステムに身を浸しきっている秘書(窪田正孝)が奇妙なバディ感を形成していく。HBOドラマ『Veep/ヴィープ』の影響が大きいようだが、日本的な笑いや捻れに変換する的確な批評性に驚く。シニカル&ブラックながら本質を射抜く眼は真っ直ぐ。映画の後味は抜群だ。