片袖の魚 (2021):映画短評
片袖の魚 (2021)トランス女性が日々向き合うリアルな感情
学生時代からの夢だったアクアリウム会社に勤務するトランスジェンダー女性が、久しぶりに戻った故郷で高校時代の同窓会に参加することとなる。生まれ持った肉体の性別が男性というだけで、それ以外はごくごく平凡な女性のささやかな日常を描いた作品。自らのアイデンティティに誇りを持っているつもりでも、ふとした瞬間や悪意のない他者の言葉に過去のトラウマが呼び起され、つい怯えて身構えてしまう。正味30分強の短くシンプルなストーリーだが、その中にトランス女性の日々向き合うリアルな感情が散りばめられている。賛否はいろいろあろうと思うが、本作の場合は当事者自身が演じていることも大きな説得力になっていると思う。
この短評にはネタバレを含んでいます