ムーンライト・シャドウ (2021):映画短評
ムーンライト・シャドウ (2021)小松菜奈、今度は海老天喰らう
吉本ばななによる短編小説は、泉鏡花文学も受賞しているだけに、ホラー・ファンタジーの要素も濃い本作。キーワードとなる“月影現象”などの幻想的な映像によって、先立った人への想いや残された人々の喪失感を描くあたりは、エドモンド・ヨウ監督の前作『Malu夢路』に通じる部分も多い。『糸』でのかつ丼に続き、傷心で海老天やパンに喰らいつく姿や、妙にあいみょんに見えるカットなど、観方によれば、小松菜奈のPV感もあるが、“生きること=食べること”というメッセージ性は『糸』より強く感じる。また、宮沢氷魚と佐藤緋美という二世俳優が兄弟役を演じる面白さもありつつ、にゃんこ映画としても楽しめます。
この短評にはネタバレを含んでいます