戦争と女の顔 (2019):映画短評
戦争と女の顔 (2019)戦後という名の「別の地獄」を生きる女たち
第二次世界大戦が終息した直後のロシア。預かっていた幼い子供を死なせてしまった女性イーヤと、その親友でもある子供の母親マーシャが、絶望の淵から立ち直ろうと懸命にもがき苦しむ。どちらの女性も戦争の後遺症を抱えているのが重要なポイント。しかも舞台は激戦地レニングラードである。戦時中にこの世の地獄を生き抜いたイーヤとマーシャだが、そんな彼女らを戦後に待っていたのはまた別の地獄だった…というわけだ。これは、かつての日本人も経験したであろう終戦後の「痛み」を描いた作品。壊れたものや失ったものは二度と元通りにならない。それこそが、戦争の本当の恐ろしさなのかもしれない。
この短評にはネタバレを含んでいます