義足のボクサー GENSAN PUNCH (2021):映画短評
義足のボクサー GENSAN PUNCH (2021)不屈の闘志に、心静かに震える
実話をベースに、かなり脚色していると思われるが、そこは台本が存在せず、リハーサルもしないことで知られる、フィリピン映画界の鬼才ブリランテ・メンドーサ監督作。そんな特殊すぎる演出が、ドキュメンタリーにも似た緊迫感を醸し出す。また、タイトルにはなっているものの、必要以上に主人公が義足であることは誇張されておらず、押し付けがましいお涙頂戴な演出もなし。そのため、王道なスポ根映画を期待すると肩透かしを喰らうかもれないが、単身で異国に渡る主人公の内に秘めた闘志は、観る者の心を静かに震わせることに。“寡黙で不器用な格闘家”繋がりで、『生きててよかった』とセットで観るのも、おススメだ。
この短評にはネタバレを含んでいます