キャメラを止めるな! (2022):映画短評
キャメラを止めるな! (2022)ライター2人の平均評価: 3
日仏の文化の違いを楽しむ忠実なリメイク
日本映画『カメラを止めるな!』をオスカー受賞作『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウスがリメイクしたフランス版。冒頭からいきなり「フランス人なのに名前が日本人?」「フランスなのに日本軍の人体実験?」と首を傾げるのだが、なるほど、日本映画のリメイクを依頼されたフランス人監督が、ワンカット撮影問題に加えて日本人プロデューサーとの「ロスト・イン・トランスレーション」問題で右往左往するというお話にアレンジされているのね。とはいえ、基本的なストーリーはオリジナルにほぼ忠実。ゆえに新たな驚きはないものの、機関銃のようなセリフの応酬と毒舌ユーモアはとてもフランス的で、両国の文化の違いが感じられる。
想像以上にストレートなリメイクに驚いた
やはりこの作品、あまりイジってはダメと再認識。フランス版を観ていると、「カメ止め」初見の驚きや、興奮、感動が素直に甦ってくる。
「日本で大評判を呼んだワンカット映画をフランスでリメイク」という基本設定がすでに改変パートで、その他、アレンジは多々あり、ゾンビ映画パートは監督が「ロメロにオマージュを与えた」と話すとおり、映像の質感やユーモアに独自性を感じさせつつ、キャラクターと人間関係、衣装、セリフに至るまで予想以上に“まんま”部分が多く、オリジナルの記憶と照合する楽しみが最後まで続く。
何よりスピリットを変えなかったこと。「たかが映画、されど映画」という愛はフルスロットルでみなぎっている。