島守の塔 (2022):映画短評
島守の塔 (2022)あの時代の悪夢と狂気を、日本人は決して忘れてはいけない
太平洋戦争において国内唯一の地上戦となった「沖縄戦」。軍本部が実質的に沖縄県民を見殺しにする中、ひとりでも多くの命を救おうと奔走した当時の県知事と警察部長の実話を描く。政府が天皇制と宗教と愛国心を悪用し、情報統制と軍国教育によって国民を洗脳するという、文字通りカルト国家だった戦前・戦中の日本。そんな状況下で、良識と理性を見失うことなく、己の良心に従って人道主義に尽くした彼らの苦悩と葛藤に胸が強く痛む。と同時に、当時の権力者がいかに国民の命を粗末に扱ったのか、本土の日本人が沖縄にどれだけの犠牲を強いてきたのか。あの時代の悪夢と狂気を、我々は決して忘れてはならない。今見るべき一本である。
この短評にはネタバレを含んでいます