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反逆のパンク・ロック (1983):映画短評

反逆のパンク・ロック (1983)

2022年8月26日公開 96分

反逆のパンク・ロック
(C) 1983 SUBURBIA PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

くれい響

綺麗ごとでは済まされない、激しく切ない青春

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

邦題はゴリゴリな感じだが、ペット・ショップ・ボーイズの「サバービア」に影響を与えたことでも知られる青春映画。『タイムズ・スクエア』の疑似姉妹を発展させた疑似家族の話だが、決して綺麗ごとでは済まさず、同時代のドキュメンタリー『子供たちをよろしく』でも扱われたストリートチルドレンの問題に鋭く切り込む。子どもにも容赦しないペネロープ・スフィーリス監督の演出に、バイオレンスとエロを挟むプロデューサー、ロジャー・コーマンの狙いが功を奏した仕上がりに。T.S.O.L.やヴァンダルズのライブシーンに、『ウイラード』ばりに鼠を溺愛する若きレッチリのフリーの姿を拝めるレアさも含め、★おまけ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

80’sカルト名作:「棄てられた子供たち」という主題の予見性

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

監督のペネロープ・スフィーリスがL.A.パンクシーンの深部を取材した初長編ドキュメンタリー映画『ザ・デクライン』(81年)の次に撮った劇映画で、原題は『サバービア』。典型的なアメリカン・ファミリーの幸福から排除された子供達の疑似家族的コミュニティ。T.R.ハウスと呼ばれる廃墟では大勢のストリートキッズが唯一の解放区として共同生活を営んでいる。

ドブネズミを肩に乗せたラズルを演じるのはレッチリのフリー。まだFEARのメンバーだった頃か。戦後アメリカの「夢」の崩壊を赤裸々に抉りつつ、居場所を奪われたティーン群像は、ガター・パンクスを映し出した『ザ・デクラインⅢ』(98年)の壮絶へと繋がっていく。

この短評にはネタバレを含んでいます
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