ペルシャン・レッスン 戦場の教室 (2020):映画短評
ペルシャン・レッスン 戦場の教室 (2020)ホロコーストを別角度から描いた異色作
ナチスに殺されかけたユダヤ人青年が、とっさに「自分はペルシャ人」だと嘘をついたことから、強制収容所の親衛隊高官にデタラメなペルシャ語を教えることになる。いつどこで正体がバレるか分からないスリリングなストーリーの面白さに加え、主人公がユダヤ人捕虜たちの名前をヒントに「偽のペルシャ語」を捏造するという設定が、最終的に大きな意味を成すことになる構成が巧い。また、収容所のナチス高官や看守たちを決して悪魔化せず、ありきたりな人間として描いているところもミソで、ごくごく平凡な人間が罪の意識もなく残虐な行為に及ぶという怖さが際立つ。特に、男社会で男以上に残酷にならねばならない女性将校の描写は興味深い。
この短評にはネタバレを含んでいます