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帰れない山 (2022):映画短評

帰れない山 (2022)

2023年5月5日公開 147分

帰れない山
(C) 2022 WILDSIDE S.R.L. - RUFUS BV - MENUETTO BV - PYRAMIDE PRODUCTIONS SAS - VISION DISTRIBUTION S.P.A.

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

なかざわひでゆき

いつまでも変わらぬ男たちの友情と山への愛情が美しい

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 北イタリアの山間に佇む小さな村。少年時代にそこで知り合って無二の親友となった男性2人の、何十年経とうとも変わらぬ互いへの固い友情と、彼らにしか分からない山々への深い愛情を描く。いやあ、とにかくイタリアン・アルプスの厳しくも美しい大自然を捉えた神秘的な映像の素晴らしいこと!失われていく伝統的な山の暮らしへの憧憬と回帰、家族のためにより良い生活を求めて働いたことで家族を犠牲にしてしまった父親世代との確執と後悔。何が正しくて何が間違っているのか。混沌とする現代社会にあって、自らの居場所を求めて彷徨う男たちの、大らかで繊細で切なくて優しい心の交流がじわじわと胸に染みる。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

友情と呼ぶにはあまりに濃厚な2人の絆に有無を言わさぬ感動が

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

少年時代、北イタリア山間の小さな村で育まれた友情が、その後、付かず離れずの距離感で続いていくドラマは、出来過ぎのようだがシンプルに尊く美しい。
一人は都会育ち、もう一人は山育ちという対比もわかりやすく、物語にうまく機能。大人になった2人が自力で建てる山小屋にそれぞれの人生が重なるし、両者の“父子関係”が、これまた感動のツボを突いてくる。氷河での試練、ワンカットで撮った岩山登りなど、背景となる山の雄大さ、過酷さを伝えるビジュアルも忘れがたい。
「大切な誰かのことを、つねに気にしてしまう」という人間の本能に共感しながら、観ていて果てしなく清々しい気持ちになり、同時に、心からやるせなくなる珠玉作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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