不思議の国の数学者 (2022):映画短評
不思議の国の数学者 (2022)ライター2人の平均評価: 3.5
学問の本来あるべき姿、学ぶことの意義を考えさせられる良作
中学では成績トップだったが高校では落第生。特待生として超エリート私立校へ入学したものの、貧しい母子家庭ゆえに裕福なクラスメートと違って塾へ通う余裕がなく、ハイレベルな数学の授業について行けない男子高校生が、実は北朝鮮から亡命した天才数学者だった学校の警備員から個人指導を受ける。試験で点数を取ることだけが勉強の目的になっている韓国、一方で優秀なエリートが国家によって利用される北朝鮮。そんな異なる背景を持つ師匠と弟子の微笑ましい触れ合いを通じて、学問の本来あるべき姿や学ぶことの意義とは何なのかが描かれていく。胸の熱くなるストーリーと爽やかな後味がとても気持ち良い。
チェ・ミンシクの魅力たっぷり
実は、ちょっと久々のチェ・ミンシク映画。これまでも幅広い演技を見せて、”北の人”を演じるのもこれが初めてではないのですが、こういうハートフルでチャーミングなものはお初ですね。学歴社会への皮肉も込められていますが、作品の本筋はカルチャーギャップとジェネレーションギャップを巧くはめ込んだ不思議な空気感のお話。チェ・ミンシクの過去の出演作からついついハードな作品なのでは身構えてしまいますが、見終わった後、少しホッとする映画でした。数学が全くダメでも普通に楽しめます。