宇宙人のあいつ (2023):映画短評
宇宙人のあいつ (2023)ライター2人の平均評価: 3
飯塚組というホーム
ブレイク前に飯塚健監督と組んでいた中村倫也や伊藤沙莉が“飯塚組というホーム”に戻って兄妹を演じるという、感慨深すぎるホームコメディ。中村の宇宙人という設定がハマりすぎるなか、朝の食卓を中心にシチュエーション・コントのような軽妙な掛け合いが展開。ちょいとアツかったり、哲学的だったり、ホロリとさせたり、オリジナルならではの飯塚節が炸裂する。しかも、バナナマン日村演じる長男に至っては『榎田貿易堂』にも通じる寅さんっぷりであり、伝説の深夜ドラマ「REPLAY & DESTROY」好きにはたまらんサービスも……。若干トゥーマッチ感もあるが、絵本も出版している飯塚監督らしい優しさ溢れる仕上がり。
侵略しない宇宙人のなごみ系コメディ
確かに、侵略のためではなく地球にやってくる宇宙人がいてもいい。いやむしろ、文明が発達した宇宙人なら、侵略以外のことを試みるのでは?などと、心穏やかな気持ちにさせてくれるなごみ系エイリアン・コメディ。うっかり木星人の視点になって、そうだな、地球には難点も多々あるが、異星人が手にいれたくなるようないいものもいろいろあるかもしれないな、などと思わせられてしまったり。色調がずっと黄・赤・青が強調された子供の絵本系なのも、そんな物語に相応しい。
監督・脚本は「荒川アンダー ザ ブリッジ」の飯塚健。セリフとセリフの掛け合いでリズムを作り、そのリズムに合わせてストーリーがテンポよく進んで心地よい。