はざまに生きる、春 (2022):映画短評
はざまに生きる、春 (2022)![はざまに生きる、春](https://img.cinematoday.jp/a/T0028545/_size_640x/_v_1684766018/main.jpg)
瓶の中に溜まった光の美しさ。
正面からアスペルガー障害を描きながら、否応なくその「はざま」を考えさせる映画。春(小西桜子)が、青を基調とする画家・透(宮沢氷魚)に惹かれる理由は彼の個性だ。透はどこかアセクシャルな雰囲気があり、異性に性的な関心を持たないように感じられる。しかし二人は徐々に距離を縮め、凡百の恋愛ものとは異なる繊細な感情が芽生えてくる。透は天体を好み「今日は月が綺麗だから見においで」と誘うが、「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したという夏目漱石の故事を思わず想起。さらに、行定勲組による撮影や照明も見どころの一つ。なんでも葛監督の実体験に基づいた物語だというが、今後の作品も期待できる新鋭の登場だ。
この短評にはネタバレを含んでいます