プーチンより愛を込めて (2018):映画短評
プーチンより愛を込めて (2018)20年以上前の密着映像、その表情と口調が今を予告している
エリツィンからプーチンへ、ロシアの最高権力が移った2000年前後、本作の監督が撮影を許されたのはエリツィンの自宅やプーチンの選挙事務所など。彼らの貴重な素顔に、「ロシアに戻ったら即逮捕」という監督の覚悟が重なって心が千々に乱れる。
全体の構成としては、やや整理されていない印象もあるが、ふと背筋が凍る瞬間が何度も訪れる。最初は高く評価していたプーチンの本質をエリツィンが気づく瞬間。監督の単独インタビューに答えるプーチンの表情、その奥に滲む得体の知れない何か。そしてプーチンの選挙の協力者のその後……。これを観ると、ウクライナとの戦争が簡単には終わらない理由の一端が伝わり、さらに恐ろしい気分に。
この短評にはネタバレを含んでいます