私、オルガ・ヘプナロヴァー (2021):映画短評
私、オルガ・ヘプナロヴァー (2021)社会のせいにして無差別の凶行…その瞳になぜか吸い寄せられる
道に立ってる人の列に、主人公がトラックで突っ込む犯行シーン。その容赦ない演出に一瞬、頭の中が真っ白になる。モノクロなのが、わずかな救い。カラーだったらトラウマになる人もいるかも。
このモノクロ映像は、主人公オルガの心象を表すかのように全編、冷たい空気を伝えている。
オルガがなぜ狂気の犯行に至ったのか。とりあえず事実に即して「社会に対する復讐」と説明されつつ、その真意に想像力が広がる作劇。『レオン』の頃のナタリー・ポートマンを連想させるオルガ役ミハリナの強烈な眼力に吸い込まれるが、その瞳の揺らぎに最近の日本での事件が頭をよぎったりも。
そして最も恐ろしいのは、ラストシーンであった。
この短評にはネタバレを含んでいます