さえない私にさようなら (2023):映画短評
さえない私にさようなら (2023)ライター2人の平均評価: 3
主演女優が好感度たっぷりで共感できる
この映画の魅力はなんといっても主演のナオミ・クラウス。ジュリア・ロバーツなり、サンドラ・ブロックなり、近年は40代以上の女優が主演のロマンチックコメディも作られてはいるが、年齢や欠点を堂々と表に出し、それをコメディに使うクラウスは好感度たっぷりで共感できる。予想通りの展開で、決して新鮮とは言えないストーリーなのに、まあまあ楽しんで見られるのはまさに彼女のおかげ。異国の素敵な場所という設定もまたこのジャンルの定番ではあるとはいえ、クロアチアの景色が目に優しいのはたしか。長いこと心には残らないだろうけれども、明るい気持ちにさせてくれる映画。
中年女性がクロアチアで自分の幸せを取り戻すラブコメディー
トルコで育ち、ドイツで暮らす主人公の中年女性が、家族との生活に疲れ果てて亡き母の故郷・クロアチアの美しい自然の中にある一軒家へ行くと、そこにはシンプルライフを愛する風変わりな中年男がいて……という、実はあちこちにちゃんと笑いがあるラブコメディー。あちこちとぶつかり合いながらも主人公が自分の幸せを取り戻していく過程で、画面には一度も登場しない母親の人生が浮かび上がってくる脚本が上手い。ドイツ生まれの懐かしのヒット曲、ネーナ「ロックバルーンは99」も上手く使われている。結末もしっくり来たけど、クロアチアで出会う彼がちょっと都合が良すぎる存在なのが気になった。原題は「FARAWAY」。