夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく (2023):映画短評
夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく (2023)ライター2人の平均評価: 3.5
アニメのように見えるトップシーンの鏡に映る青空からして。
この映画は空がすべて支配している。主人公である「青磁」と「茜」という名前が象徴するように、その二つの色が混じり合う夕方と朝方のマジックアワーが清々しくも美しく撮られているのだ。物語だけ取ってみれば、いつもマスクで顔を覆い(コロナとは関係ない)本心を隠している女の子と、いかにもな銀髪オレ様男との胸キュンラブストーリーだが、そこは酒井麻衣監督、そんな次元で収まるわけがない。過去から現在に至る瑕を互いに抱えながらも、美術でこの世を捉えようとする青磁と、そこに影響され次第に自己を解放していく茜の成長物語になっているのだ。屋上でのクライマックスは音楽の高揚感とも相俟ってかなりの爆発を見せる!
ちょっと変化球で沁みました
絵に描いた様な優等生のヒロインと、銀髪の変わり者な男子のラブストーリーで、正直既視感もあったのですが、酒井監督の手腕でしょうか?風変わりな空気を纏った作品に仕上がっていて思わぬ形で沁みました。ちょっと不意を衝かれた感があり、最後まで見入ってしまいました。ラブストーリーですので、当然メインの二人がどれだけ輝くことができるか次第でどうにでもなってしまうのですが、白岩瑠姫と久間田琳加の二人が好演。相性の良さを感じました。この組み合わせでもう一本ぐらいあってもいいかもしれませんね。