テクノブラザーズ (2023):映画短評
テクノブラザーズ (2023)ライター2人の平均評価: 3.5
ウディネ・ファーイースト映画祭で大ウケも当然!
奇しくも『バービー』と同じく『2001年宇宙の旅』(ツァラトゥストラはかく語りき)で幕を開ける大田原愚豚舎十周年の記念作。畑の中に立つ偽クラフトワークが世界の頂点を目指すテクノ版『ブルース・ブラザーズ』。冴えた企画物かつ、異能音楽家・渡辺雄司(弟)の才を前面化させた堂々の新境地だ。監督・渡辺紘文(兄)の多演は『オースティン・パワーズ』のM・マイヤーズ参照とのこと。
鬼マネージャー役の柳明日菜やとりわけ悲惨な目に遭う黒崎宇則のオーガニックな怪演も強烈で、マルクス・ブラザーズ的なサイレント喜劇の味も。栃木県大田原の素敵なお店等を巡るロードムービーの枠組みは聖地巡礼必至。今後のユニバースにも期待!
続編では、『モーゼに会う』のか?
常に映画の概念をブッ壊してくれる映画制作団体「大田原愚豚舎」。旗揚げ十周年の新作は、独特なクセは残しつつ、初の全編カラー作品ということもあり、これまでになくポップでキャッチー。赤シャツ+黒タイという完全にクラフトワークな風貌のテクノユニットが東京を目指すロードムービーで、飯も食わせない悪徳マネージャーと言葉数の少ないメンバーの関係性など、シュールかつオフビートな笑いは、完全に『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』オマージュ大会。広がる田園風景に、『サイタマノラッパー』にも似た胸アツ展開、シリーズ化を見越したラストなど、これはこれでアリだと思わせるから不思議だ。