ペナルティループ (2024):映画短評
ペナルティループ (2024)ライター2人の平均評価: 4
またもやタイムループ物…と侮るなかれ
恋人を殺された若者が犯人を殺害して復讐を果たすものの、気が付くと同じ日の朝に時間が戻っており、若者は何度も繰り返し犯人を殺すことになるのだが、そのうち彼の心境に変化が生じていく。復讐の是非を問う映画は古今東西少なくないが、仕掛けとしてタイムループを使った作品は珍しいだろう。とはいえ、またか…といった感じのタイムループ物ではあるものの、しかしこのシニカルなユーモアとほろ苦い切なさの入り混じった中盤からの展開は全くの予想外で、それこそ『ミステリー・ゾーン』の良質なエピソードを見た時のような味わいがある。
才気煥発
SFというのは低予算でも巧く立ち回れば成り立たせられるジャンルではあります。、本作の荒木伸二監督はまさに近年の成功例の一人と言えるでしょう。実写邦画でこのクオリティをを出せるのはお見事です。基本的に”普段にあるモノ”だけを使っていながら、ちゃんとしたSFができている、前作『人数の街』に続いてのこのデキなので荒木監督のセンスはホンモノだと思います。いわゆるタイムリープモノですが、実写でやるとかなり滑稽に映ってしまうこともあるのですが、本作はドライなユーモアを漂わせて続けて、独特のリズムで物語は進んでいき、緩慢になることを防いでいます。荒木監督にはこの路線を保ち続けて欲しいところです。