卒業 ~Tell the World I Love You~ (2022):映画短評
卒業 ~Tell the World I Love You~ (2022)ライター2人の平均評価: 3
キラキラどころかドロドロしてる!
『泥だらけの純情』<<<『少年の君』な優等生とチンピラの出会いから始まるタイBL映画。三角関係となる展開は定番だが、抜け出せない犯罪組織の集団リンチに、バイクで走行しながらの銃撃戦など、キラキラしたポスターヴィジュアルを大きく裏切るバイオレンス描写が連続。主演から脇役まで、顔面偏差値が高いあたりは、さすがだし、MV感溢れる編集など、妙にVシネ色が強いのは悪くないが、かなり強引なラストをはじめ、脚本があまりにお粗末すぎ。リメイクしなきゃ良かった映画の代表格『アタック・ナンバーハーフ・デラックス』のポット・アーノン監督の最新作と考えれば、納得すぎる仕上がりである。
痛々しくも切ないタイの美少年たちの青春模様
経済発展が著しい東南アジアのタイ、その豊かさに取り残された都会の下町。成績は優秀だが生い立ちの恵まれない高校生ケンは、半グレ集団から足を洗おうとする不良少年ボンを助け、そのせいで彼と共に組織から狙われる羽目になってしまう。ストーリー自体は、時代背景を含めて昭和の日活青春やくざ映画みたいなノリ。ワケアリな美少年たちの複雑な友情ドラマに、ほのかなBLテイストが絡むあたりはタイ映画らしいと言えよう。アクションあり、サスペンスあり、学園ドラマにロマンスもありと大盤振る舞いで、ノワールタッチのスタイリッシュな映像美も悪くないが、しかし脚本自体はかなり薄くて浅い。あくまでもイケメンを愛でる映画だ。