ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト) (2022):映画短評
ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト) (2022)世を去ってなお謎と矛盾に満ちた知性を追う。
JLGの全ての時代を網羅した作品は案外少ないが、これはその一本。ヌーヴェルバーグ黎明期からA.カリーナをミューズとした今でも最も愛される時期。ヴィアゼムスキと出会った『中国女』以降、毛沢東主義に傾倒していく時期。過去作を自己否定し、イデオロギーに完全にのめり込んでいく「ジガ・ヴェルトフ集団」の時期。そして『勝手に逃げろ/人生』からの受賞しまくりの華々しい時期。大作『ゴダールの映画史』へと至るヴィデオという媒体も積極的に導入し始めた時期…。その全てに渡ってM.メリル、N.バイ、J.デルピーら、その時々のミューズの現在の証言も含めながら描いていく。彼の軌跡を手っ取り早く知るには最適な良作だ。
この短評にはネタバレを含んでいます