デシベル (2022):映画短評
デシベル (2022)ライター2人の平均評価: 3.5
連続爆弾テロの背景に権力の腐敗を描いた硬派な韓流スリラー
周囲の環境音が一定レベルを超えると自動的に起動する「騒音反応型爆弾」を用いた連続爆弾テロが発生。大勢の観衆が詰めかけたサッカースタジアムや、子供でごった返す市民プールなど、犯人から予告を受けた海軍士官が被害を防ぐべく奔走する。不特定多数が集まる公共の場所で、余計な音を立てたらアカン!という設定はなかなかスリリング。さらに、国家権力の隠蔽工作を暴くという犯人の思惑も浮上し、ポリティカルスリラー的な面白さも加わる。まあ、細かいツッコミどころも多々ありだが、しかし力技で見せ切ったうえに最後は観客の涙まで搾り取るのだから脱帽。ただ、展開がスピーディ過ぎて全体的にライトな印象を受けることも否めない。
実はドラマ部分が重い爆弾アクション
爆弾魔の脅迫によって街中を駆けずり回らされる主人公……という『ダイ・ハード3』パターンのアクションスリラーかと思いきや、事件の原因となった過去の潜水艦事故にまつわるドラマにウェイトが置かれていた。あんな状況に置かれたら、そりゃどうかしてしまうわな……と後からじわじわ効いてくる作品。キム・レウォンをはじめとする韓国の俳優たちはよく体を張っているし、爆発や破壊のケレン味もさすが。イ・ジョンソクとチャウヌがどんな関係だったか妄想してしまうファンもいるかも。あとは爆弾が爆発する条件をクリアにしたり、主要登場人物のドラマを掘り下げていたら、もっと良くなった気がする。