配信犯罪 (2021):映画短評
配信犯罪 (2021)ライター2人の平均評価: 3.5
胸糞ネットスリラーと思いきや、意外な仕掛けが
ネット上の悪意を描いたスリラーは今や珍しくはない。本作もそんな一作……と途中までは思っていたが、そんな予定調和で完結することはなかった。
この世を支配しているかのように振舞う裏配信サイトのホストのマウントに、同調してコメント欄で叩く視聴者の傲慢。序盤はそんないやらしさをこれでもかと描き、見るものの胸のムカつきをひたすら高める。腹立たしさを恐怖に転化した面白さ。
が、結末では意外な秘密が明らかにされる。詳細は省くが、物語の意外性に加え、イビツな道徳性には『ソウ』に似た要素が宿っていた。この映画の刃は、ネット動画を無責任に面白がっている社会に向けられているのだ。
何を伝えたいのかは最後にしっかりわかる
90分間、フルスピードで展開していくスリラー。そこで見せられることは非常に残酷で、決して気持ちの良いものではない。しかし最後になって、このストーリーを通じて何を伝えたかったのかがしっかりとわかり、意味をなす。たとえ受け身であっても、あまり深く考えなかったにしても、これらの動画や写真を見る、そこに参加するというのは、加害者に加担すること。そして加害者だっていつ被害者になるのかわからない。今作で長編監督デビューを果たすチェ・ジョユンは、そういった現状に対する強い怒りを表明し、警鐘を鳴らす。