サイレントラブ (2024):映画短評
サイレントラブ (2024)ライター2人の平均評価: 3
言葉がなくても伝わるモノ
一作品ごとに違った顔を見せてくれている内田英治監督の最新作はそのタイトル通り非常に静かなテンションのラブストーリー。光を失ったヒロインに対して徹底した献身で支え続ける声を捨てた青年、これだけで充分ラブストーリーに仕立てることができると思いますが、内田監督はさらに一歩、二歩踏み込んだ展開を用意しています。2時間弱の上映時間でかなりストーリーが二転三転するので”ただの静かで穏やかな映画”だと思うとちょっとビックリします。タイトル通り静かな映画ではありますが、そこに焼き付けられた熱量はちょっといびつさを感じるほどです。
きみのガムランボールが問いかけている
「silent」フォロワーにも見える“静寂の恋物語”だが、久石譲の起用も含め、内田英治監督がやりたかったのは、明らかに『あの夏、いちばん静かな海。』。山田涼介と浜辺美波が歩くシーンは、濡れた仔犬の表情を魅せる山田と並ぶ、見せ場のひとつだ。ブルーカラーな主人公の格闘家設定など、『きみの瞳が問いかけている』との共通項も多いが、三木孝浩監督との力量の差は歴然。内田監督が好む相変わらずリアリティに欠けるヤンキー&半グレ描写もあるが、三角関係になる野村周平の浮世離れした設定が厳しいというか、観方次第でミスキャストとも取れてしまう。とりあえず、Mrs. GREEN APPLEの主題歌で逃げ切った感はアリ。