悪魔がはらわたでいけにえで私 (2023):映画短評
悪魔がはらわたでいけにえで私 (2023)ライター2人の平均評価: 3
ホラーというジャンルを突き抜けた次元
『死霊のはらわた』や『悪魔のいけにえ』などスプラッターホラーのクラシックにオマージュを捧げているのはタイトルからも明らか。そこからどこまで飛距離を伸ばすかと思っていたら、軽々と想像を超えてきた。
先に挙げた2作は取っかかりに過ぎず、ユーモラスかつナンセンスな展開に突入。ロメロやクローネンバーグ作品のようなバケモノの方が人間より幸せ……という局面を飛び越え、別次元へと突き抜ける。つまり、やりたい放題!?
セリフらしいセリフが出てこない後半はシュールの極み。ホラーというジャンルに縛られない宇賀那監督の“自由”を楽しみたい。
'80年代ノリも微笑ましいウルトラ・ゴアなホラー・コメディ
『死霊のはらわた』よろしく若者たちがEvil Dead化するオープニングから、ひたすら血糊やら臓器やら生首やらゲロやらをこれでもかとスクリーンにぶちまけつつ、そうかと思えば妙にアットホームで微笑ましいストーリーが展開して見る者を大いに困惑させる異色の邦画スプラッター・コメディ。このなんとも懐かしくて憎めないゲテモノ感、どっかで見たことあるよなあと思ったら、ロイド・カウフマン御大がゲストで出てきて合点がいった。そうだ、このノリはトロマじゃん!と(笑)。往年の名作ホラー映画へのオマージュもシャレが効いていて好感触。こういうお気楽でユル~い血みどろ映画ってのもオツなもんですな。