葬送のカーネーション (2022):映画短評
葬送のカーネーション (2022)老人と幼い孫娘が、広大な大地を歩き続ける
冬のトルコ。亡妻の遺体を埋葬するために遠い故郷までヒッチハイクを続ける、老人と幼い孫娘。風景はいつも大きく、人はみな小さい。2人はほとんど話さないが、周囲には膨大な量の言葉が飛び交う。彼らを乗せてくれる自動車の運転手たち各自の自分語り、道で出会った羊飼いの言葉、車中のラジオ番組の出演者の声。夥しい量の言葉は、2人と無関係なようでもあり、何かを暗示しているようでもあるが、2人はただ黙っている。
昼に降り注ぐ光の量は多いが、夜には焚き火が必要な寒さで時には雪が積もる。広大な土地に一本の道が続き、そこを寡黙な2人が歩き続けていくだけなのだが、その光景から目を離すことができない。
この短評にはネタバレを含んでいます