罪と悪 (2023):映画短評
罪と悪 (2023)ライター2人の平均評価: 3.5
キャストも魅力的な“日本版『ミスティック・リバー』”
ある過去を持つ幼馴染の3人の男が、1つの殺人事件を通して四半世紀振りに再会を果たす。そのうちの一人が刑事だったり、あの過去が性的暴力にまつわるものだったりと、かなり“日本版『ミスティック・リバー』”を意識した作りなのは否定できない。登場するだけで締まるベテラン陣に加え、3人の同世代キャストによる化学反応も興味深いなか、石田卓也の存在感を久々に痛感。地方都市を舞台にした重厚な人間ドラマとしてはなかなか楽しめるが、オリジナルのミステリとして見た場合、やはり弱い。本作がデビュー作となった齊藤勇起監督の演出には職人気質を感じるので、今度は手堅い原作モノで観てみたいものだ。
力作サスペンスがまた一本
これまで多くの監督の下で助監督としてキャリアを積んできた齊藤勇起監督の長編デビュー作品。齊藤勇起監督によるオリジナル脚本作品でもあります。イーストウッド監督の「ミスティック・リバー」を思わせる二つの時代を行き来する秀作ミステリーとなっています。監督のキャリアに加えて脚本の良さもあってか各年代の重厚なキャストが揃いました。これだけの面々を集めただけで終わらさずにしっかりと機能させているのは齊藤勇起監督の手腕と言えるでしょう。今後の事を考えると覚えておきたい名前です。