ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争 (2023):映画短評
ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争 (2023)ゴダールの魂が宿った最後の作品
巨匠ジャン=リュック・ゴダールの遺作となった20分間の短編映画。その内容は写真や絵や文字が無造作にコラージュされ、音楽やナレーションが不規則に現れては消える、まるで未完成の実験映画のような趣き。恐らく、老境に達したゴダールが内側から湧き出るイメージや思考を感性の赴くままに紡いでいったのだろう。決して分かりやすい映画ではないし、そもそも分かりやすいように作られた映画でもないのだが、そこには老いてなお創作意欲の衰えぬゴダールの未来へ向けた眼差しと、同時に「あの時代」へ残して来た深い想いも垣間見える。そういう意味で、彼の魂が宿った作品だ。
この短評にはネタバレを含んでいます