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ブルーイマジン (2024):映画短評

ブルーイマジン (2024)

2024年3月16日公開 93分

ブルーイマジン
(C) “Blue Imagine” Film Partners

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

なかざわひでゆき

性暴力被害者が直面する日本社会のリアルを描いた問題作

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 過去の性暴力被害を周囲に黙っていた役者志望の女性が、同じような境遇の女性たちと関わることで声を上げる勇気に目覚めていく。直接的な元ネタであろう某映画監督の性加害事件はもちろん、昨今の日本芸能界で物議を醸している様々なセクハラ&パワハラ問題を想起させる力作。性犯罪が「それしきのこと」として軽んじられ、加害者よりも被害者の方が責められたり揶揄されたりする日本社会で、女性が性被害を打ち明けることのハードルがどれだけ高いのか、だからこそ女性同士の連帯がいかに重要であるのかを、静かな怒りと揺るぎない決意を以て描いていく。時として脚本や演出が愚直すぎるように感じるが、それもまたこの映画の魅力であろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

性加害問題をあらゆる方向から深く、繊細に見つめる

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

性加害問題をすべての側面から見つめる傑作。「狭い世界だし何もなかったように振る舞うしかない」と諦めたり、声を上げれば「役をもらえなかったから被害者ぶっているのか」と言われたり。性加害を告発された監督の映画が上映中止になれば「作品に罪はない」との意見が出たりする。SNSによる二次被害やメディアの取り上げ方、映画界に限らず日常の中にある小さなセクハラにも触れるし、東京で暮らす移民の女性も登場。深刻な問題を鋭く、リアルに突くが、同時に女性たちに向ける目線は繊細。彼女らが互いを支え合う姿に力づけられ、最後はなんとも言えない希望を感じた。見事なバランスを取った松林麗の監督としての今後に強く期待。

この短評にはネタバレを含んでいます
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