Ike Boys イケボーイズ (2021):映画短評
Ike Boys イケボーイズ (2021)ライター2人の平均評価: 3
ジャパニーズカルチャーへの偏愛が暴走!
幻のジャパニメーション「行け!虹の世紀末大決戦」の円盤を入手したオタクが世界を救う使命を託されるトンデモSF……ではあるが、仮面ライダーやウルトラマン、ジブリぐらいは、まだまだ序の口。宇宙刑事ギャバンに、「平成ガメラ」金子&樋口監督、ウルフルズ「ガッツだぜ!!」まで、ジャパニーズカルチャーのてんこ盛り状態は、『ターボキッド』の映像制作ユニットRKSSの作品にも近い偏愛だ。極めつけは、空手道場を経営するビリー・ゼインと釈由美子の夫婦。『クロニクル』みたいになりそうでならない牧歌的なユルさなど、作り手の暴走が目立ったりもするが、いろいろ“昔のニチアサ”感覚で楽しめたりもする。
監督の"ココが好き"がぎっしり詰まってる
日本のヒーロー特撮が大好きなアメリカ人監督が撮った本作は、特撮モノへのまっすぐな愛情に溢れている。そういう成り立ちの作品によくあるようなパロディ的な感覚や、わざとチープさを狙うような気配はまるでなく、ココが好きなんだ、という監督の"好き"をストレートにやっているのだ。そうそう、ウルトラマンはこういう構図を使う、仮面ライダーはこうジャンプする、と感じさせる直球のオマージュが満載。そこに、日本のコミックの効果線やカタカナの擬態語もプラス。そういう作品でありつつ、"おっ"と思わせるのは、物語にKKKや先住民の虐殺などのアメリカの歴史の暗部がさらりと盛り込まれているところかもしれない。