ドライブアウェイ・ドールズ (2023):映画短評
ドライブアウェイ・ドールズ (2023)ライター2人の平均評価: 3.5
女性コンビのロードムービーは、笑えて痛快な85分
軽くて、痛快で、カラフルで、笑える85分、この尺の短さも快適。バディもので、どちらも若く、優等生ではなく、無茶な行動をしながらヤバいジョークを言ってばかりいる、という映画は、男性バディならよくあるが、女性バディでは珍しいのではないか。
共同脚本は、コーエン兄弟映画の編集を長年務めてきたトリシア・クック。彼女は同性愛を公表していて、本作のヒロイン2人も同性愛カップルだが、それは映画のテーマではなく、ただそうなだけ、という扱いも新鮮。物語の発端が70年代にあり、映像がときおりサイケデリック風に変化するのも楽しい。ちょっとした役を、ペドロ・パスカルやマット・デイモンが演じるのも豪華。
コーエン“らしさ”も際立つ、レズビアン主人公映画の快作
弟イーサンの単独監督作で兄ジョエルはノータッチだが、過去の兄弟作品らしいオフビート感覚、(いい意味の)くだらないネタに満ちた快作に。コーエン作品おなじみのクセ者役者のズレた悪党コンビっぷりとか、かなりツボ。
目を疑うシモネタ系も、あっけらかんと放出。クィアをテーマにした作品が何かと深刻になりがちな方向性を、意図的に打破すべくの軽快なノリは、イーサンのパートナー、トリシャ・クックの功績か。素直に笑えるシーンが多いと感じる。女子サッカーチームが与える勇気や、レズビアンを公言するビーニー・フェルドスタインのキャスティングなど、細部のリアリティへの配慮があってこそ、コメディとして成立するという好見本。