#スージー・サーチ (2022):映画短評
#スージー・サーチ (2022)ライター2人の平均評価: 3.5
インフルエンサーはつらいよ
SNSを題材にした作品は今や珍しくはないが、起承転結の枠の中にそれをきっちりと落とし込んだドラマ作りの点で、本作は優れている。
フォロワーや“いいね”の数に揺さぶられるインフルエンサー心理に迫りつつ笑いをまじえながら、深刻化する事態を活写。分割画面はデ・パルマ作品にも似た、主人公の独白で語られる物語にはウディ・アレン的な、洗練をにおわせる。
映像の構図や色遣いにはポップな感性もうかがえ、一筋縄ではいかないスリラーに仕上がった。これが長編デビュー作となる新鋭S・カーグマンの名は、ぜひ覚えておきたい。
ポップでコミカルな語り口に、批評性がチラリ
リアルでは友人がいないスージーが、動画配信のフォロワーを増やすために奮闘する。そんなちょっとイタイ話なのだが、映像も語り口もとってもポップでコミカル。色彩は鮮やかで明るく、映像は、主人公が観客に語りかけてくるおしゃべりにシンクロして、リズミカルで軽やか。人物の心理に合わせて、画面が分割されたり、急に人物がアップになったりするギミックも楽しい。起きているのはヒドイことなのに、まったくそうは見えないという演出に、批評性が潜んでいる。
加えてストーリーにはヒネリがあり、途中から別のドラマになっていく展開も、技あり。主人公の愛らしさを『ザ・フラッシュ』のカーシー・クレモンズが好演。