DitO (2024):映画短評
DitO (2024)社会のレールから外れた人々への応援歌
フィリピンで再起のチャンスを狙う日本人の中年ボクサーのもとへ、日本で離れて暮らす高校生の娘が転がり込み、失われた親子の絆を手繰り寄せていく。会社員になって定年まで勤めるだけが人生じゃないし、稼ぎの良い職業に就けば幸せになれるわけでもない。もちろん、夢を追いかけるのに年齢制限などないし、親子の絆を取り戻すのに遅すぎることもない。幸せの形も家族の形も人それぞれ。これは、いわば「社会のレールを外れた人々」への応援歌だ。甘ったるさを排したハードボイルドな語り口と、隅々から滲み出る優しさや温かさが物語に深い味わいを与える。猥雑さと美しさを兼ね備えたフィリピンの日常風景を鮮やかに捉えた映像も魅力的。
この短評にはネタバレを含んでいます