コンセント/同意 (2023):映画短評
コンセント/同意 (2023)実話だからこそ生々しい小児性愛者の洗脳と支配
フランスの高名な作家であり、自他ともに認める小児性愛者ガブリエル・マツネフ。これは多感な年頃の14歳でその毒牙にかかり、長年に渡ってトラウマに苦しんだ女性ヴァネッサ・スプリンゴラの告発手記の映画化だ。「この世の何よりも美しく純粋な我々の愛」などと美辞麗句を並べ、グルーミングとガスライティングを巧みに使い分けながら、思春期の迷える未熟な少女を洗脳・支配するインテリ中年男の狡猾さ。克明な描写に思わずゾッとする。何よりも唾棄すべきは、この性犯罪者を異端の芸術家としてチヤホヤする知識人たち、そして芸術を免罪符に悪徳を許してしまうフランス社会の悪しき風潮だ。日本にも存在する傾向ゆえ他人事とは思えない。
この短評にはネタバレを含んでいます