ニューノーマル (2023):映画短評
ニューノーマル (2023)ライター2人の平均評価: 3.5
現代社会の病巣が浮かびあがる韓流猟奇ホラー・アンソロジー
マッチングアプリに闇サイト、若者の貧困にストーカーなどなど、昨今の韓国社会を取り巻く様々なトピックをテーマにしながら、ありきたりな日常に潜む恐ろしい闇を描いた猟奇ホラー系アンソロジー。それぞれ独立した複数のストーリーで構成されているのだが、実はそれぞれのエピソードに少なからぬ関連性のあるところがミソ。全体を見渡すことで、我が日本の世相とも極めてよく似た韓国社会の病巣が浮かび上がる。チェ・ジウを筆頭とする多彩なキャストも見どころで、中でも新人と思えぬ貫禄と目力の女優ハ・ダインは要注目。韓流ホラーの傑作『コンジアム』の監督だけあって、見る者の皮膚感覚に訴える嫌~な恐怖感を存分に味わえる。
超常現象よりも、隣にいる人が怖い
ホラー映画『コンジアム』で心霊スポットの動画生配信をモチーフにしたチョン・ボムシク監督が脚本も兼任、タイトル通り、ホラー映画の"新しいノーマル"を描くことに挑んだのが本作。超常的な現象が起きるのではなく、ただ、外見は普通に見えて実はサイコパスな人々が街を歩き回っているだけなのだが、ふと彼らに遭遇してしまうと恐るべき事態が起きる、そういう世界が描かれる。
登場人物が作中で起きる複数の出来事に関係しているという形式の群像劇だが、彼らの関係がみな希薄で、デートアプリやオンラインゲームでの繋がりなのも、ニューノーマル。殺す方もあっさり殺すが、殺される方が簡単に死ぬのもニューノーマルか。